再登校事例

集団リンチによる不登校 女子中学生ESさん Vol.8

「人間不信」退治作戦開始(7回目カウンセリング)

2週間後、7回目のカウンセリングです。
 
前回ESさんは「4月に行くと言ったら絶対行く」と断言しました。
お母さんによると「自他共に認めるがんこモノで完璧主義者」だそうです。
 
この時は11月半ば、ESさんはまだ中2、引きの長期戦もアリです。リンチからの完全回復を狙う作戦に切り替えました。
 
ただ、ベストではありません。不登校長期化による無気力進行のおそれもあるためです。
カウンセラーの能力が問われます。
 
前回からの変化は、
・土日以外毎日買い物に出て、夕食を作ってご両親の帰りを待ってくれるようになった。かなり凝ったものを作るそうです。お母さん大感激。
・合気道の道場に見学に行った。「楽しかった」。
・先週日曜日に有名シェフのフランス料理店に行って、コースをお母さんと食べた。
・担任の先生は毎週金曜日にポストに手紙を入れてくれています。そこに、「MKさんは学校へ来てないよ」と書いてあったそうです。これには一同「うーん」と唸ってしまいました。
・家にいるとイライラする。毎日生活が決まっているから、買い物以外に他に行くところがない。ファンシーショップは知り合いがいる可能性が高いので、絶対行かない。
 
イライラを直接止めようとしてもムダです。原因は別にあります。
 
前回の続き、人間不信を確認します。
するとMKに対する不信、AMに対する不信、敗北感が強く出てきました。
 
私は不登校のピラミッドを書いて、現在のESさんの不登校の構造をわかりやすく説明しました。
 
そしてピラミッドを崩すために、次のことをお願いしました。
・MKの二度の裏切りを思い出しながら「許せない」「裏切り」「毎日悪口を言っていた」という言葉を思い浮かべる。
・AMの悪口を思い出しながら「信用出来ない」という言葉を思い浮かべる。
・リンチ全体を思い出しながら「負けちゃった」「勝ちたい」という言葉を思い浮かべる。
・各言葉を思い浮かべながらトラウマのアルゴリズムを2回ずつ毎日行う。
 
なぜ人間不信を直接消すことが難しいのか。それは事実の記憶が産み出すからです。
私が述べてきた映像、音声、感情ではありません。
しかし事実の記憶を消すことはTFTでもできない。
 
苦肉の策を私はESさんのカウンセリングで考え出します。